バーベキューグリルの選び方(3)
第3回を迎えた「バーベキューグリルの選び方」シリーズ。
今回は、「どちらを選ぶ?ガスグリルorチャコールグリル!」というテーマでお届けします。
(3)燃料は何にする?
グリルを選ぶ際に重要になる要素の1つが、「燃料」です。
調理道具であるバーベキューグリルにとって、調理熱源は料理のデキにも関わる重要な問題。
そこで今回は、燃料の違いによるグリルの特徴について、タイプ別にお話していきます。
燃料によるバーベキューグリルの分類には、大きく分けて3つのタイプがあります。
チャコール(炭)グリル、ガスグリル、電気グリルです。
これらグリルにも様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
●炭を使用する「チャコールグリル」
チャコールとは、炭のこと。
日本では多くの人が「バーベキューと言えば炭火」というイメージですから、真っ先に思い出すのが、炭を使用するこのチャコールグリルではないでしょうか?
・安価だけど奥が深い!料理にこだわりたい玄人のためのバーベキューグリル
チャコールグリルは、炭を置く場所と焼き網を置く場所、あとは酸素供給の仕組み(空気穴など)さえあればいいので、基本的に単純な構造のグリルです。
極端な話、ドラム缶をぶった切って足を付けたものでも「チャコールグリル」と言えます。
構造が単純ですから、そのメリットはまず「安価である」こと。
市販品ももちろん安価なものが売っていますし、ドラム缶などで自作することも可能ですので、スキルと道具さえあればかなりの安値で作成することができるでしょう。
だからといって、全てが「安かろう悪かろう」の簡易グリルなのかと言うと、そうでもない。
バーベキュー愛好家の間でも、チャコールグリルは根強い人気を誇る「本格派グリル」なのです。
こちらは、海外で愛好家が自作したBARRELタイプのチャコールグリル。
いずれもドラム缶を材料に自作したものですが、溶接まで駆使したかなり本格的な作りになっています。
ドラム缶グリルを製造・販売している業者さんまでいます。
温度計付きで使い勝手もよさそう。
なぜここまで気合いの入ったドラム缶グリルがあるのか。
それは、燃料である「炭」そのものが料理に適した燃料だからです。
日本でも、「最高級備長炭使用」をウリにした焼鳥屋さんや鰻屋さんを見たことがあると思いますが、看板見るだけで美味しそうですよね?(笑)
炭で焼いた食材は美味しい!と言われますが、ガスより高温、水蒸気が出ない、食材の旨みを閉じ込める…など、炭火が調理に向いていることは、実際に科学的にも証明されているそうです。
(詳細はコチラを参照)
また、スモーク料理などがやりやすいのも、チャコールグリルの魅力。
ガスグリルではガス火にスモークチップやチャンクスを投入するわけにはいきませんが、チャコールグリルなら炭に直接放り込めば簡単にスモークができます。
チャコールグリルは、料理の味に拘る「こだわり派のグリル」と言えます。
・チャコールグリルのデメリット
一方で、チャコールグリルの大きなデメリットは「火起こしに時間がかかる」、「火力調整にスキルが必要」なことです。
協会では「誰でもできる簡単な火起こしの方法」をお伝えしていますが、それでも火が安定し使用できる状態になるには30分ぐらいはかかります。
ガスは一発点火ですから、着火スピードという点では雲泥の差です。
これは特に、途中で火力を上げたい(炭を足したい)ときなどに「すぐには火力が上がらない」というデメリットになってきます。
また、炭の火力を「弱火にする」ためには、酸素供給量を調整したり網の高さを調整したり、それなりの知識と経験が必要になってきます。
ガスグリルはダイヤルで火力を調整するだけですから、チャコールグリルはガスグリルのお手軽さには敵いません。
もちろん、熟練のピットマスターならそれを踏まえた上で火力調整ができるわけですが、これは個人のスキルによるところが大きい。
メリットデメリットを考えあわせて、ある程度のスキルが必要な「玄人向けグリル」と言えるでしょう。
●ガスを燃料とする「ガスグリル」
次は、ガスグリルについて。
炭を使うチャコールグリルに対して、ガスを燃料とするのがガスグリルです。
ガスのバーベキューグリルと言うと、カートリッジタイプのガスボンベを使うものがアウトドア用品店などで販売されていますので、見たことがある人も多いのではないでしょうか?
意外に思われるかもしれませんが、バーベキューの本場アメリカ・カナダでは実はガスグリルの普及率が高く、ガスグリルの方が一般的なんです。
写真はBroil Kingというカナダメーカーの大型BARRELタイプ。
日本では一般的ではないですが、アメリカ・カナダではこのようなガスグリルがたくさん発売されており、ホームセンターやご家庭のお庭にも並んでいます。
・一発着火!楽々火力調整!手間がかからないガスグリル
ガスグリルの魅力は、なんといってもその「お手軽さ」。
家庭用のガスコンロと同じような仕組みで、着火は一発、火力調整もダイヤルで思いのまま。
「バーベキューやろうか!」と思い立ったらすぐに焼き始めることができます。
片付けも、残り炭や灰の処理などがないため、楽々。
焼き網の掃除だけで済みます。
火力調整のスキルが不要で、誰でも簡単に使いこなせる。
これがガスグリル最大の魅力です。
肝心の料理の味についても、遠赤外線セラミックバーナー、溶岩プレート・岩塩プレートを利用したものなどさまざまな工夫が凝らされており、炭火と遜色ないほど美味しく焼けるものが多数発売されています。
(遠赤外線効果でお肉が美味しく焼けるGrandHall ガスバーベキューグリル「T-GRILL」)
そのため、バーベキュー文化が日常に溶け込んでいるアメリカでは「気軽さ、お手軽さ」を重視してガスグリルを選択する人が多いんですね。
この「お手軽さ」は、キャンプなどアウトドアシーンでも重宝します。
テント設営などただでさえ作業が多いキャンプシーンで、一発点火・火力自在のガスグリルは大活躍間違いなしです。
・ガスグリルのデメリット
一方、ガスグリルにもデメリットがあります。
ズバリ、「高い、重い」です。
ガスグリルは、家庭のガスコンロと同じようにガス供給と点火の機構が不可欠。
チャコールグリルに比べて機構が複雑で部品も多いため、どうしても重量が出てしまいます。
日本でも有名なコールマンのロードトリップは、重量約18kg。
似たようなサイズの携行型チャコールグリルが5kg前後であることを考えると、炭を10kg持っていったとしてもまだロードトリップの方が3kgぐらい重い(笑)
かなりの重量ですね。
また、構造が複雑ということは、それだけ値段も上がりがち。
特に海外製の大型グリルは輸送にもコストがかかるため、日本で入手しようと思うと思わぬ高額になるケースもあります。
このため、高性能大型ガスグリルの場合、同サイズのチャコールグリルの5~6倍の値段になることも珍しくありません。
(ちなみに、前述の「T-GRILL」は日本発売価格16万円!)
・日本では注意が必要な「LPガスグリル」
また、LPガスボンベを使用する海外製大型グリルの場合、日本と海外での法律の違いが問題になるケースがあります。
日本は海外に比べてLPガスの保管に関する規制が厳しく、実際に運用する場合に様々な制限がかかってくる可能性があります。
LPガス仕様のガスグリルを購入する場合、必ずガス屋さんと相談の上、手配できるとの確約を得てから購入する必要がありますのでご注意ください。
(カートリッジを使用するポータブルガスグリルの場合は問題はありません)
●まとめ
このように見ていくと、
・炭火の美味しさにこだわる方や、コストパフォーマンス重視の方はチャコールグリル
・コストをかけてでもお手軽さを求める、使用頻度の高い方はガスグリル(ただし、持ち運びには注意が必要)
という選択になるのではないでしょうか。
自宅で頻繁にバーベキューがしたい!という人は、BARRELタイプの大型ガスグリルはいい選択だと思います。
実は牧野も購入検討しています(笑)
(ただし、LPガスの手配には注意!)
…あれ?電気グリルの話は?
と思った方。
長くなったので次回お話します。
というわけで、次回、バーベ―キューグリルの選び方(4)では、「第3の選択!電気グリル」をお届けします。
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